人気お笑いコンビTKOの木本武宏氏が6億円規模の投資トラブルに遭いました。
仲のいいお笑い芸人などから運用資金を集めて詐欺師に資金を渡し、配当金を受け取れずに運用資金を持ち逃げされました。
TKO木本氏は、なぜ6億円もの大金を集められ、詐欺師を信用してしまったのでしょうか?
今回はTKO木本氏が加担したポンジスキームの手口から、6億円を集めた経緯までを明らかにします。
✔ TKO木本が投資した経緯
✔ TKO木本が投資した金融商品
✔ 実際に投資被害にあった芸能人
✔ 投資詐欺に遭わないための注意点
✔ 投資詐欺に遭ってしまった際の対処法
また、そもそも投資詐欺に遭わないための注意点も具体的に説明するので、最後までしっかりと読んでください。
TKO木本の投資トラブルとは
今回のTKO木本氏の資産運用話は、典型的なポンジスキームでした。
ポンジスキーム(Ponzi Scheme)は、英語の名詞で【出資詐欺】のことです。
イタリア人詐欺師のポンジが1920年代に大々的に運用資金を集め、出資者に配当金を還元しなかったことから、彼の名前をとってポンジスキームと言われています。
木本氏は「出資するだけで、投資知識なく毎月〇〇万円受け取れます」との謳い文句に騙されました。
FXと不動産運用に投資したはずが、気づいたら詐欺師に出資金をむしり取られていました。
今回の投資トラブル騒動で、木本氏は2022年7月23日に松竹芸能を退所しています。
典型的なFX・不動産ポンジスキーム
もともと仮想通貨に興味を持ち投資仲間が増えていた木本氏は、知人から凄腕FXトレーダーを紹介されました。
紹介を受けたのがFX詐欺師Aですが、Aの会社設立費用を負担した上、Aに芸人仲間から集めた出資金約1億円を渡し、運用をしてもらっていました。
しかし1年もしないうちにAからの配当金は滞り、FX詐欺師Aは失踪しました。
詐欺師Aに負わされた負債を取り戻すべく、新たに投資をしたのが、不動産詐欺師Bが薦める土地活用でした。
結局Bも運用益を木本氏に渡すことができず、不動産詐欺にまで巻き込まれていきました。
TKO木本が投資に興味を持ち始めた経緯とは
きっかけは2017年の仮想通貨バブル
TKO木本氏が投資に興味を持ったきっかけは、2017年の仮想通貨でした。
2017年といえば、BTC/ USDが年末にかけて2万ドルの大台を目前にしていたプチバブル期です。
当初はチャートを見たことのない人まで、猫も杓子も仮想通貨状態でした。
仕事をいっしょにしたプログラマーから仮想通貨について教えられ、10万円の少資金から投資を始めました。
買えば買うほど値上がりしていき、最終的には200万円ほどをつぎ込みました。
仮想通貨バブルが崩壊、専門書で勉強開始
木本氏が投資し順調に値上がりしていた仮想通貨も、2018年早々のバブル崩壊とともに、収支がトントンになりました。
これではいけないと木本氏は一念発起。
仮想通貨に関する専門書を読み漁り、仮想通貨に詳しい人からも積極的に知識を得て情報交換をしていくようになりました。
TKO木本が資金を預けた投資会社とは
2017年の初投資から数年が経過。
木本氏は投資の勉強にどんどんのめり込み、投資仲間が増えてきた矢先に、FX詐欺師Aと出会います。
FX詐欺師Aは地方から出てきたばかりの20代男
2020年はじめ、FX詐欺師Aは投資仲間の若い子らから「天才トレーダー」として紹介されました。
Aは専門用語を巧みに使い、木本氏にトレード画面を見せながらFX取引を実践していました。
木本氏はAの取引に魅了され、気づけば夜な夜ないっしょに飲み歩くようになっていました。
Aは地方から出てきたばかりのごくごく一般的な20代の男でしたが、「本格的にトレーダーとして頑張りたい」との熱意に押され、木本氏はAの会社設立費用1千万円を負担。
その上で、会社設立費用とは別に100万円のトレード運用資金を、Aに手渡しました。
この時点で、FX詐欺師Aと木本氏は契約書と借用書の締結はしていませんでした。
運用通貨ペアはユーロ/ 米ドル
FX詐欺師Aがトレードしていた通貨ペアは、ユーロ/ 米ドルでした。
ただ、木本氏によれば、「ユーロ/ 米ドルだったと思う」とのことです。
Aを信用しきっていた木本氏は、多くを確認せず銘柄もAに任せっきりで取引内容を把握していませんでした。
運用益は月利10~20%
Aは木本氏にレバレッジを使ったトレード手法を紹介。
画面を見せながら取引をするAの姿に、木本氏は陶酔していきます。
「今月は利益が20%出ました!」と、木本氏へのAからの電話報告。
Aはコンスタントにトレード報告を電話で行っており、毎月10-20%の運用益だと伝えていました。
運用資金を預けてから最初の数ヶ月は配当金を受け取っていたため、すっかり信じきっていたのです。
TKO木本が見ていたトレード画面はデモ口座だった
木本氏がFX詐欺師Aの異変を感じたのは、2020年の夏ごろでした。
電話報告が少なくなり、心配になってAの部屋を訪れると、そこには熱意を失ったAの姿がありました。
「今は相場が危ないので、以前の取引額の半分でやっています」と。
木本氏がAを訪れてから数日後、FX詐欺師Aは失踪し、連絡がとれなくなりました。
のちに、木本氏が見ていたAの取引画面は、デモ口座だったことが判明したのです。
Aは損失を出すどころか、実弾取引すらしていませんでした。
FXの損失補填として不動産詐欺師Bに相談
FX詐欺師Aが失踪して傷心していた矢先、不動産詐欺師Bから、投資話を持ち掛けられます。
不動産詐欺師Bは木本氏と7-8年前からの飲み仲間でしたが、ある時から急に羽振りがよくなりました。
木本氏がBに理由を尋ねると、「限られた人しか触れない土地の運用話があり、年利は50%にもなる」とのことでした。
FX詐欺にあったばかりの木本氏は、藁をもすがる思いで不動産詐欺師Bの話に便乗。
木本氏を含めた4人が約5億円をBに出資。
結局、FX詐欺師A同様、不動産詐欺師Bも配当を渡さず飛んでしまったのです。
投資詐欺を投資詐欺でナンピンした行動は、失敗に終わりました。
TKO木本に誘われた人気中堅芸人とは
FX詐欺師Aへ出資した仲間は9人おり、木本氏を含めた計10人からの1億円ほどがFX詐欺師Aに渡りました。
出資をした木本氏以外の9人のうち、数名は名前が明らかになっています。
投資被害者①:平成ノブシコブシ吉村
今回の投資トラブルで最大額の被害を被ったとされているのが、平成ノブシコブシの吉村氏です。
運用被害額は3,000万円超との報道があります。
1年前に出演したバラエティ番組では、「仮想通貨で大損し、貯金が100分の1くらいになった。家賃を払えるかも危うい」と語っていましたが、その後「持っていた仮想通貨をフルベットしちゃった」と、今回の騒動への関与を認めています。
投資被害者②:野生爆弾くっきー!
画家やジェニーハイでのベース担当など、お笑い以外の多彩な面をいくつも持っているくっきー!ですが、くっきー!も木本氏に資金を預けている一人でした。
運用被害額は数百万円とされています。
投資被害者③:平野ノラ
ワタナベエンターテインメントに所属する平野ノラ氏も、今回の投資被害の一人とされています。
事務所側は騒動について認めていませんが、代わりに否定もしていません。
運用被害額は分かっていません。
投資被害者④:みなみかわ
TKO木本氏と同じ松竹芸能の後輩芸人で、シュールなシステマ(格闘技)ネタが有名なみなみかわ氏も、木本氏に資金を預けていたとされています。
運用被害額は明らかになっていません。
なお、木本氏は出資を募った芸人仲間からは、マージンは一切もらっていませんでした。
6億円もの大金を集めたTKO木本の人望
今回の投資トラブルでは、木本氏はFX詐欺話に対して9人から1億円、不動産詐欺話には3人から5億円を集めています。
木本氏自身は、FXと不動産投資の両方を含めて2千万円弱の出資でした。
計6億円もの大金は、どのように集まったのでしょうか。
マジメ過ぎるほどおせっかいな性格
TKOの相方である木下氏が、木本氏のエピソードを自身のYouTubeで話しています。
ある時期、木本氏が化粧水をメイクさんや周りの芸人すべてに薦めていました。
あまりにも木本氏がみんなに化粧水を薦めていたので、木下氏が「化粧水の仲介手数料でももらってんの?」と聞いたところ、「なんももらってない。ただ化粧水がいいから薦めてるだけ」と、木本氏は答えました。
今回の投資トラブル騒動は、「度が過ぎたおせっかい」が、取り返しのつかない事態に発展したといえます。
礼儀正しく抜群に人柄がいい
芸能界の先輩である明石家さんまや松本人志などが、「木本は詐欺をはたらく奴じゃない。割と断言できる」と明言。
一方で番組を共演していた上沼恵美子は、「木本っちゃんて礼儀正しくて抜群に人柄がいい。最高の性格やと思う」と発言しました。
また、雨上がり決死隊の宮迫博之も直近のインタビューで「木本?イジるにはまだ早いが、木本の人となりを知っている。絶対に悪い奴ではない」と断言しています。
「あの木本がいうのだから間違いない」と、周りの芸人仲間は信用し、いとも簡単に出資したのでしょう。
TKO木本が集めた6億円の行方はどうなったのか
今回のポンジスキームで集められた6億円は、今どうなっているのでしょうか?
すでに大半を芸人仲間へ返金済み
木本氏は、芸人仲間から出資金を集めた際、マージンを一切受け取っていませんでした。
しかしながら詐欺師AとBの投資話を芸人仲間に持ちかけた罪悪感から、木本氏が出資金を肩代わりしました。
芸人仲間とは木本氏が借用書を交わし立て替えて、大半は返金し終わっているとのことです。
FX詐欺師Aを刑事告訴準備中
不動産投資を持ちかけてきたBからは内容証明と返済計画が届き、今後時間をかけて返済されていくとの事です。
しかしFX詐欺師Aとは連絡が取れなくなり、Aからの返済計画も示されていません。
木本氏はAへの法的手段を講じる構えだといいます。
FX詐欺に遭わないための注意点とは
デモ口座の取引画面を見せられた時点で、リアルトレーダーなら即座に気づけた今回のポンジスキームですが、FX詐欺を回避するためにはどうすればよいのでしょうか?
① 金商法の無登録業者は必ず避ける
今回のFX詐欺師Aと不動産詐欺師Bは、ともに金商法(金融商品取引法)登録がされていない無登録者でした。
投資家から資金を募り金融商品を取引するには、日本では金融庁への届け出が必要です。
投資話を持ち掛けられた時点で、金商法の登録有無を確認しましょう。
なお、金商法は個人でも登録でき、下記の4つに分類されます。
- 第一種金融商品取引業
- 第二種金融商品取引業
- 投資運用業
- 投資助言・代理業
個人では、②の【第二種金融商品取引業】と④の【投資助言・代理業】に登録できます。
いうまでもありませんが、金商法無登録の人物や団体は必ず避けましょう。
② 運用益の平均利回りを把握する
FIRE(FInancial Independence, Retire Early)を目指すためには4%ルールの適用が望ましいとされています。
4%ルールとは、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費をまかなえるという考え方です。
一方、かの有名なウォーレン・バフェットが運営するバークシャー・ハサウェイの年利は20%です。
月利換算で1.6%ですね。
では、FXの平均運用益はどうでしょうか?
運用額と経験年数によりますが、目安としてFX中級者で年利10%、上級者で年利30%とされています。
トレードスタイルがスキャルピングなのか、スイングなのかによっても、年利は変わってくるでしょう。
確実な運用実績を目指すなら、株式同様、年利20%が妥当です。
持ちかけられた投資話の運用利回りが年利20%以上なら、ポンジスキームを疑いましょう。
③ 自分の金融リテラシーの低さを自覚する
厳しい言い方をしましたが、これに尽きます。
wikiFXのサイトをご覧になっている時点で、本記事を読んでくださっている読者は金融リテラシーが一定程度あると推測します。
しかしながらFX詐欺に遭うのは、FXのノウハウを分かっていない状態だからです。
今回のTKO木本氏の件は、デモとリアルの区別もつかない状態だったので少々極端ですが、「自分が分からないものには投資しない」ことが鉄則です。
FXに投資するなら、最低限の取引知識を身につけましょう。
投資の世界は、あなたが思うほど甘くありません。
もしもポンジスキームに遭ってしまったら
投資詐欺に遭わないことが大前提ですが、万一ポンジスキームの被害に遭ってしまったらどうすればいいのでしょうか?
対応策は3つです。
① 出資金を今すぐ返してもらうよう請求する
ポンジスキームの詐欺師は、投資話の悪い噂を極端に嫌がります。
悪い噂が広まって、出資金の返還要求が一度にくることを恐れるからです。
そのため、詐欺師は大きな声で騒いでいる出資者をいち早く鎮めようとします。
ポンジスキームに遭ってしまったら、大げさなくらいに周りを巻き込んで早急に返金請求を実施しましょう。
② 国民生活センターに相談する
投資詐欺に遭った可能性が出てきた時点で、独立行政法人・国民生活センターに相談しましょう。
国民生活センターでは、専門の相談員が公正な立場で対応してくれます。
1. 国民生活センターのwebサイトを訪問
2. 相談・ 紛争解決/ 情報受付をクリック
3. 全国の消費者生活センター一覧が表示される
4. 自分の住まいの消費者生活センターへ電話をかける
消費生活センターは、各自治体により電話番号が異なりますが、電話が繋がりにくく一刻も早く相談したい場合は、全国統一番号の188にかけてみましょう。
なお相談をする際、詐欺被害の時系列がわかるようにメモにまとめておきましょう。
③ 弁護士に相談する
詐欺被害に遭ったら、一刻も早く返金請求に入らなくてはいけません。
その際、自身で相手方へ交渉するのか、弁護士を通すかでも相手へのインパクトは変わってきます。
弁護士を通して相手方へ返金請求をする場合は、詐欺事件に強い弁護士を選びましょう。
「弁護士ドットコム」と検索すると、都道府県ごとの弁護士が表示され、キーワード検索でどの分野に精通している弁護士かを確認することができます。
過去に詐欺案件で勝訴した弁護士を選びましょう。
まとめ
ポンジスキームは、人類が発明したもっとも捕まりにくい最悪の出資詐欺です。
昨今の円安と同時に世界各国のインフレ率が高騰する中、日本円の価値が低下し「何か投資を始めなければ」という危機感も湧いてくるかもしれません。
今回のTKO木本氏の投資トラブルは、FX詐欺師Aのトレードを実際に見た時点で防げるものでした。
ポンジスキームにFXが悪用されたことで、FX自体の印象が悪くなった面もあるでしょう。
注意したいのは、投資自体が悪ではないということです。
投資の知識を持たないまま投資をしてしまうことが悪なのです。
投資に対する自分の知識量を静観し、「どこに・どのくらい・どの期間」投入するのか、そもそも今投資をするべきなのか?じっくりと勉強してから投資をしましょう。