パウエル議長が公聴会で証言!米国経済ソフトランディングに反応して市場は円売りに

米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長は7月9日の上院銀行委員会での議会証言に続き、7月10日下院金融サービス委員会で証言を行いました。パウエル議長は、「インフレが鈍化していることを認識しつつも、FRBの目標である2%に向けて持続的に減速しているという確信はまだ持てない」、「インフレが後退しているという「ある程度の確信」はあるものの、2%に向けて持続的に低下していると確信できる段階にはまだ達していない」と説明しました。

パウエル議長はまた、「最近の物価指標が緩慢な進展継続を示しており、さらなる良好なデータが得られれば、インフレ率がFRBの2%目標に向けて低下しているという確信が強まる」と述べたものの、FRBは依然としてインフレ目標の達成に向けた課題を抱えており、「インフレに関する仕事は終わっていない。やるべきことはまだある」と強調しました。

なお、利下げのタイミングについては慎重な姿勢を示し、金融当局の行動開始が早過ぎても遅過ぎてもリスクを抱えることになると指摘しました。「インフレが抑制されつつあることに対する確信が強まれば、FRBが利下げする根拠が強まる」と利上げを示唆したものの、具体的な時期については明言を避けました。

インフレの他、FRBのバランスシート縮小についても言及しました。FRBは新型コロナウイルスのパンデミック中に市場安定と景気支援を目的に米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を購入しました。その結果、保有資産が大規模に膨らむこととなりました。パウエル議長は、「まだかなりの道のりがある」としながらも、「FRBはこれまでに保有資産を約1兆7000億ドル削減してきたが、さらに慎重に縮小を進める必要がある」と述べました。FRBはバランスシートをさらに縮小することを目指しています。

FRBは物価安定と同時に、雇用の最大化も使命としています。雇用についてパウエル議長は、「米国は依然として失業率の急激な上昇を伴うことなくインフレ目標が達成されるソフトランディングに向かっていると感じている」、「失業率を低く抑えながら完全な物価安定を取り戻す道はある。われわれはその道を歩んでおり、その道を歩み続けることに非常に注力している」と述べました。

現在、一部の市場関係者は9月の利下げが米大統領選前の政治的行為とみられる可能性があると見ています。パウエル議長は、「FRBの決定が政治的要因に影響されることはない」として、「選挙の年を含め、FRBの行動は全てデータと見通しに基づくものである」と述べました。

パウエル議長の証言は、FRBが今後も慎重な政策運営を続けることを示唆しており、特に利下げやバランスシート縮小に関する決定が慎重に行われることを示しています。また、FRBは米国の経済と金融の安定を維持しつつ、インフレ目標達成と低失業率の維持を両立させるために努力していることが窺われます。

パウエル議長の下院金融サービス委員会での証言内容を受け、利下げ観測は高まったものの、米国経済のソフトランディングを意識して、円売りが先行しました。ドル円相場は現在、1ドル161円台中盤で推移しています。本日、6月米CPIの発表があるので、様子見の展開になると見込まれます。

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